変形性股関節症
「動き始めや体重をかけると股関節が痛い」
「靴下を履きにくくなった」
「足の爪を切るのが大変になった」
「歩き方を指摘されるようになった」
「痛みがあって趣味活動を辞めてしまった」
こんなこと心当たりありませんか?
こんばんは!ませです🔱
私は、整形外科疾患を得意とする病院で働いています。
そこで今回は、普段の業務で関わることが多い、変形性関節症について触れたいと思います。
変形性関節症は、体重がかかる股関節や膝関節に多いのが特徴です。
その中でも、「変形性股関節症」についてお話しします!
なぜ股関節なのか?
普段リハビリをしていて、靴や靴下を履いたり、しゃがむのが大変だったり、日常生活に支障をきたすことが多い印象があります。
もちろん、膝が痛い方が日常生活に支障をきたさないということではありません!
実は先日、実家に帰った時に、私の母も足を組むと股関節が痛いと言っていたこともあり、今回は変形性股関節症にしようと思いました。
変形性膝関節症については、またいずれ…。
🦴今回の内容🦴
1.変形性股関節症について
2.こんな人がなりやすい
3.絶対手術というワケではない
4.手術後のリハビリについて
🦴変形性股関節症とは?🦴
変形性股関節症とは、関節を構成する軟骨や骨、靱帯などの変性や骨棘形成(関節面や軟骨にできる骨のトゲのこと)などが起こる疾患のことです。
関節軟骨は、適度な柔らかさと氷よりも高い滑らかさを持ち円滑な関節運動を行う役割があります。しかし、関節軟骨は血管や神経などがないため、外部から栄養をもらいにくい環境にあります。そのため、一度傷ついてしまったりすると治りにくいのも特徴です。
🦴どんな人がなりやすい?🦴
関節軟骨の変性は以下の原因で発生すると言われています。
・加齢
・人種
・性別
・肥満
・労働や運動、外傷などの負荷がかかった人
変形性股関節症になる理由はまだ解明されていませんが、原因が明確でない一次性と先天性の原因がある二次性に分けられます。
〈一次性とは?〉
関節軟骨の変性、筋肉を含む関節を支える機能の低下、長期間にわたる微細な損傷が積もりに積もって発症するのが一次性です。ゆっくり出来上がって、60歳以降に症状が出やすいと言われています。
〈二次性とは?〉
日本では、二次性の原因の80%が生まれつき股関節が緩い状態(先天性股関節脱臼)と骨盤側の受け皿の形状が不完全な状態(臼蓋形成不全)の二つが占めています。
臼蓋形成不全では、体重を支える面積が小さく、関節軟骨にかかる負担が大きくなるため変形性股関節症になりやすくなってしまいます。
🦴手術は必要?🦴
結論から言うと、患者さん次第です!
ずるい答えになってしまいました。すみません。
ですが、普段患者さんと接する中で、患者さん次第という答えはあながち間違いではないと思います。
例えば、変形度合いや痛みが軽度の人でも「手術をしてまたゴルフがしたい」、「また、旅行にいきたい」という目標があって手術をする方もいます。逆に、変形が進んでいても「痛みがない」、「痛みがあっても手術はしたくない」という方も中にはいます。
どちらの考えも否定するつもりは、全くありません!
手術を決断した方の勇気は素晴らしいですし、手術を希望しない方の気持ちもわかります。
ここで、手術を検討するタイミングを紹介します!
この記事を読んでいる方で迷っている方がいたら、判断の手助けになるでしょう。
・リハビリや薬を飲んでも痛みが取れない
・日常生活に大きな支障をきたしている
・痛みによって、趣味などができなくなった
・痛みがない、日常生活を送りたい
あくまでも目安です。
実際に判断する際は、担当の先生と相談してみてください。
🦴手術後のリハビリについて 🦴
手術した後は、翌日からリハビリがあります!
翌日から⁉︎と思う方もいるかもしれません。
昔は、怪我や手術の後は安静にするというのが一般的でしたが、現在は、できるだけ早い段階からリハビリを始めた方が良いと言われています。
とはいえ、リハビリは、キツイ、ツライというイメージを持っている方が多いと思います。
確かに、楽なことだけではありません。痛いこと、キツイこともあります。
でも、心配はありません!患者さんの状態にあわせてリハビリを進めていきます。
具体的にどのような流れで進めていくか、簡単に紹介します。
まずは、手術直後はベッドから起きて車椅子に乗るところから始まります。
もちろん、傷のチェックや関節を動かす練習や筋肉を使う運動も少しずつ行います。
ある程度動くことができるようになってきたら、体重をかける練習や歩いてトイレに行く練習も始まります。最初は、歩行器を使い徐々に杖や杖なしで歩く練習を行います。
病棟内を自由に移動できるようになったら、先生に退院する許可を確認します。
階段の練習や必要に応じて畳の上での動きの練習も行います。
私の勤務している病院では、退院したら外来リハビリがあります。
私はこの外来班に所属しています。
外来リハビリでは、自転車の練習などのより日常生活の動きに直結する動作のリハビリを行います。
入院中のリハビリは毎日ありますが、外来のリハビリはだいたい週2〜3回程度です。
リハビリの回数が入院中よりも少なく、リハビリする時間も限られています。
患者さん自身で、体のケアやトレーニングができるように自主トレの指導と確認も行います。
🦴まとめ🦴
ざっくりとした内容でしたが変形性股関節症について書いてみました。
もしも、股関節や膝関節などに痛みがある場合は、整形外科で診てもらうことをオススメします。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました!
生活習慣病と運動②
こんばんは! 理学療法士のませです!
今回は、前回の続きです!
実際にどんな運動をすれば良いかご紹介します。
どんな運動をすればいいの?
効率よくカロリーを消費して、脂肪が燃えやすい身体を作るには筋トレが効果的です!
そこで、前回の記事で例として出した「スクワット」をご紹介します。
スクワットは、立っている状態から股関節と膝関節の曲げ伸ばしを繰り返す運動です。
主に、身体を支えるお尻(大臀筋)や太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)を鍛える運動です。筋力をつけるだけでなく荷物を持ち上げたり下ろしたりする際に、膝や腰を守るためにも役立ちます。
スクワットの正しいやり方
スクワットは、正しいフォームで行えばダイエットや筋トレに効果的な運動です。しかし、間違ったフォームで行うと膝や腰を痛めてしまい、思ったような効果が出ない恐れがあります。
〈スクワットの姿勢〉
1、脚は肩幅より少し広めに開いて、つま先は少し外に開く
2、手は腰に当てる
3、背筋は丸まらないように、真っ直ぐに伸ばす
4、腰に当てた手を、お腹と太ももで挟む(股関節を曲げる)
〈スクワット中の注意点〉
1、膝はつま先より前に出さない(膝だけ曲がらないように)
2、膝とつま先は同じ向き(内股にならないように)
3、つま先が上がらないように注意しながら踵重心(くるぶしの下)
10回を1セットとして、朝、昼、晩やテレビを観ながら、何かの作業の合間などで行うことをおすすめしています。
痛みが出る場合は、曲げる角度を浅くしたり回数を減らしてみたり、鏡などでフォームを確認してみてください。それでも痛みが出る場合は、整形外科の医師に相談してみましょう。無理は厳禁です。
普段の歩きに一工夫!
スクワットを紹介しましたが、1日を通して筋トレを続けるのは大変だと思います。
そこで+αで、普段何気なく行っている「歩き」にある一工夫を加えます!
それは、早歩きとゆっくり歩きを3分ずつ交互に繰り返す方法です!
この方法は、「インターバル早歩き」と呼ばれています。
効果は以下の通りです。
1、筋力・持久力の向上(5ヶ月で筋力が最大10%、持久力が最大20%向上したとの報告)
2、生活習慣病の予防
3、気分障害の予防
4、睡眠の質の向上
5、軽度認知症の改善
6、関節痛の軽減
7、骨粗しょう症の改善
インターバル歩行だけでは、筋トレとしての効果は十分得られないのでスクワットと一緒に行うとかなり効果的です!
まとめ
今回は、実際に運動を紹介しました。
運動に自信がない方や痛みが伴う方は、無理して行わず負荷量を減らす、もしくは医師に相談してください。
運動を続けるのは大変ですが、誰かと一緒に楽しく行うことで継続しやすく効果も出やすいです!
ぜひ、頑張ってみてください!
今回も読んでいただきありがとうございました!
生活習慣病と運動
こんばんは!
初めましての投稿から、かなり時間が経ってしまいました。すみません。
最初のテーマは、「生活習慣病と運動」についてお伝えします!
この記事を読んだ方は、生活習慣病を予防し、最悪の事態を防げるかもしれません。
この記事で得られることは3つです。
1、生活習慣病と運動について
2、運動の効果について
3、正しい運動習慣について
やっぱり運動は大事!
運動不足になると、心臓の病気や糖尿病などの生活習慣病になりやすくなると言われています。生活習慣病だけでなく、運動が大事ということは誰もが知っていることだと思います。
運動は生活習慣病の予防に対してどんな効果があり、なぜ運動が必要なのか知っていますか?
なぜ運動が必要なのか?
運動医学・科学の研究では、生活習慣病の発症は加齢だけではなく慢性的な運動不足によって引き起こされる身体の機能低下が大きな要因であると言われているからです!
加齢に伴う各種機能の低下が全て老化現象で説明されるものではないという報告もあり、以下にまとめてみました。
・よく鍛えられた青年ですら完全休養の状態を維持すると、わずか数週間で老化現象とよく似た機能低下が起きる。
・若い成人男性を3週間ベッドの上で完全休養させたところ、肺や心臓の働きなどが約30%低下した。
・無重力下に置かれた宇宙飛行士たちも同様に、肺や心臓、神経、筋肉の働きが大きく低下した。
これらの報告から、加齢に伴う各種機能の低下が、全て老化現象で説明されるものではありません。加齢に伴う運動量の低下も機能低下を引き起こしている大きな要素といえます。
運動不足は、改善できる要素を十分に持っています。
生活習慣病に対する運動の効果
運動における生活習慣病予防の効果は以下の通りです。
1、高血圧・高脂血症の予防・改善
2、心臓疾患の予防・改善
3、脳卒中の予防・改善
4、糖尿病の予防・改善
5、がんの予防・改善
6、認知症の予防・改善
7、肥満や骨粗鬆症などになりにくい
8、メンタルヘルスや生活の質の改善
9、血液循環が良くなる
10、睡眠障害の改善
運動には、様々な効果や可能性があります!
どれくらい運動すればいいのか?
活動量が増えて消費カロリーが増えると以下のような効果があると言われています。
・1週間で消費カロリーが2,000kcal増加で、心臓病の最適な予防になる
・1週間で消費カロリーが500kcal増加で、ある程度の冠心臓病の予防になる
・1週間に500kcal増加するごとに、糖尿病のリスクが6%減少する
特に以下の方に対して高い予防効果があったと報告されています。
1、身長の割に体重がある方
2、高血圧がある方
3、遺伝的に糖尿病がある方
運動と糖尿病の予防と改善に関する研究報告では、運動不足と心臓病や血管の病気による死亡率や糖尿病の発症頻度は大きく関係があると報告されています。また、糖尿病になりやすい、肥満の方や運動不足を抱えている人ほど、運動の予防効果が顕著に現れていると報告もあるのです。
消費カロリーを増やすには?
消費カロリーが増えると糖尿病のリスクが減少すると言いましたが、消費カロリーを1週間で500kcal増やすと言ってもあまりピンとこないと思います。
ここで筋トレの王道と呼ばれるスクワットを例に挙げたいと思います。
〈体重60kgの人の場合〉
・1回あたり 0.69kcal
・10回あたり 6.99kcal
・30回あたり 21.0kcal
・15分間スクワットした場合 78.75kcal
一度にまとめてやるよりも、家事の合間やテレビを観ながらなど隙間時間でやると、続けやすく回数も稼げます。
スクワットで足りない分は、通勤・通学の際に大股で早歩きをする、階段を使うなど筋肉に少し負荷をかけるとカロリーも消費しやすいです。
実は間違えている?運動習慣について
運動習慣とは、平成27年国民健康・栄養調査において30分の運動を週2回以上実施し、1年以上継続しているものとされています。
さらに、生活習慣病予防に効果的な身体活動と運動については、身体活動のうち、息が弾み、汗をかく程度の運動を週に60分以上行うこととされています。
みなさんはいかがですか?頑張っていても運動する時間が少なかったり、1年以上継続していなかったり、運動習慣があると思っていても運動習慣と呼べないかもしれません。
普段、運動しているとお話ししてくれる患者さんでも、この条件をクリアしている方は少ないです。
まとめ
今回は、「生活習慣病と運動」についてお伝えしました。少しでも、「運動をしてみようかな」と思ってもらえると嬉しいです。
次回はどんな運動をすれば良いかをご紹介したいと思います。